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代表者は香港やシンガポール在住の中国人や米国人などだが、投資家の多くは黒い眼の外国人、つまり日本人である。 ファンドを利用するのは企業買収もしくは増資を利用したマネーゲームを暴かれたくないからだ。
W年同月、羽万人以上の生徒を抱えていた英会話学校最大手のNOVAが経営破綻した。 先払いで受け取った受講料で事業を拡張するNOVA商法と、ワンマンで知られる猿橋望社長(当時)の乱脈経営が原因だが、そのNOVAが最後に頼ったのは、「資本のハイエナ」と呼ばれる資金調達集団だった。
増資の引き受けを約束するかわりに、華々しい再建計画のぶち上げ、投資家受けするM&A戦略の発表などを強要する。 つまり株価を動かし、仕手株化するのが目的で、猿橋社長が相談した相手は、「最後の大物仕手」と呼ばれた西田晴夫氏のグループや大手証券出身の投資顧問業者などだった。
彼らが猿橋社長に約束したのは、新株予約権の大量引き受けで、すべてが権利行使されれば悦億円がNOVAにもたらされることになっていた。 結局、調達は間に合わず、NOVAは倒産、西田晴夫氏は別件の株価操作で、山月ロ日、大阪地検特捜部に逮捕されるが、ハイエナ集団が利用していたのが、英国領パージン諸島のファンドである。
NOVAの新株予約権の引き受け先として名乗りを上げていたリッツ・ベニンシユラ・トレーデイングを例に取ろう。 所在地を最後まで書けば、英国領バージン諸島トルトラロードタウン、インコーポレーシヨンセンター私書箱957号である。
トルトラ島はプエルトリコの東側約120キロに浮かぶパージン諸島の中心部で、大きさは沖縄の久米島ほど、 人口は約9000人。
ロードタウンは主都で、インコーポレーシヨンセンターというビルの私書箱のひとつがファンド所在地ということになるが、興味深いのは、私書箱957号に日本の上場企業の増資引き受けに登場する刊以上のファンドが置かれていることだ。 大盛工業、アイビーダイワ、ニューディール、サンライズ・テクノロジー、ヤマシナ、ゼィープラス、オメガプロジェクト・ホールデイングス、森電機、ユニオンホールデイングス、フアイ、イチヤ、エスコム、山水電気、サハダイヤモンド・「資本のハイエナ」のおもちゃになったことのある銘柄ばかり。

そんなボロ会社の大株主として登場するファンドが957号には大量にあった。 香港の代理人が、-万香港ドル(約日万円)程度でファンドを設立、要望によって銀行・証券口座を開設するのだが、その代理人が同じなので、同じ私書箱に同じ目的のファンドがズラリと並んでいる、ということのようだ。
こうして、株も土地も資産も簡単に海外に飛び、捕捉されない。 それは外為法改正を始めとする規制緩和や米国発の金融テクニックがもたらしたものだが、その前提となるのは資金余剰だろう。
余ったカネがグローバル化のなか海外に飛ぶ。 その源流はバブル時代に求められ、余剰資金による「アメリカ買い」がBIS規制につながって、日本をマネー敗戦に導いたのだった。
平成になって長い年月が過ぎ、昭和末期の狂ったようなバブルの熱気も過去のものになった。 「バブル時代」を知らない世代も増えている。
したがって、日米の成熟化と資金余剰が生んだ金融偽装を述べる前に、バブル時代を振り返る必要がある。 1985年9月の5ヵ国蔵相・中央銀行総裁会議で、「ドル高是正」が確認(プラザ合意)されて以降、1ドル240円だった為替レートは一気に円高に向けて走り始め、3ヵ月後には200円の大台を突破、その後も衰えを知らぬ円高が続いた。
当然のことながら輸出産業は悲鳴を上げ、ことに牽引車の自動車や電機といった業界から政策的配慮を求める声が高くなり、公定歩合引き下げによる景気刺激策が取られた。 1月、5・0%だった公定歩合が0・5%引き下げられて4・5%となり、3月4・0%、4月3・5%、日月3・0%、翌釘年2月に2・5%で史上最低の水準を記録した。

そのうえに政府は剖年9月に総合経済対策、訂年5月に緊急経済対策など景気刺激策を連続して実行した。 それまでなら金融緩和によってあふれたカネは政策誘導によって実体経済に向かっていた
ところが景気刺激策は有効に機能しなかった。 欧米をお手本
に成長を続けるというキャッチアップ戦略がとりあえずその目標を達しており、といって自ら未踏の事業を切り開くオリジナリティは日本の企業にはなかった。 また、輸出に代わる内需拡大が叫ばれたものの、その内需を探しあぐねた。
結果として銀行はあふれる資金を有効活用する借り手を見つけられず、企業は銀行から借金をしなくなり、株式市場から直接、調達するようになった。 ピークの的年、上場企業のエクイティ・ファイナンス(新株発行を伴う資金調達)は、総額M兆9000億円にのぼった。
その調達資金を新規事業に投じるのではなく、「財テクブーム」のなか、株や土地に回した企業は少なくなかった 方向性を失った銀行は地上げ業者や仕手筋にも融資するようになった。
本体がまずければダミーのノンバンクを利用、株上げ、土地上げに狂奔した。 訂年のリゾート法の成立を受けて、唯一、内需振興、新規産業の育成につながるかと思えたのがリゾート開発である。
だが、結局これも、ゴルフ場、スキー場、テニス場付きの同じようなリゾートが全国で乱立しただけで、後に業者は軒並み倒産、銀行の不良債権となった。 バブル経済の崩壊後、捜査当局によって、イトマン事件、東京佐川急便事件、富士・東海銀行事件など数多くの銀行絡みの経済事件が摘発されたが、その
先駆けψとなったのは旧住友銀行青葉台支店の元支店長による出資法違反事件である。 小谷光浩、加藤嵩といった仕手筋への融資のあっせんを罪に問われたものだが、事件化後、一冗支店長の発した次の言葉が印象に残っている。
「昭和(お年)頃から銀行の体質がガラッと変わりました。 預金を集めても評価されなくなった。
月間目標1000万円、2000万円のノルマを与えられてアクセクしていたのが嘘のようでした。 評価されるのは、高い金利でカネを借りてくれる得意先を見つけてくること。
バブル当時、上司が『限界利益を目指せ』と、ハッパをかけていました。 塀のなかに落ちないギリギリのところに本当の収益チャンスがあるというのです」資本過小から資本過多の流れがお年には定着、金融の元締めである銀行は「限界利益」を目指さざるを得ないほど、貸出先に困った。

そのあげく女、外車、豪邸、別荘、絵画、海外リゾートとワンパターンの享楽に走る幾多のバブル紳士を育てることになるわけだが、資金余剰を国内だけで解消できず、海外にも向けた。 投資先となったのは米国である。
「今晩は ニューヨークのMの子会社からお送りします」。
深夜、NBCテレビの司会者、ディビット・レターマンは、自らのトーク番組でこう切り出した。
この日、M地所が米国の名門財閥ロックフェラー一族の不動産会社であるロックフェラー・グループを1200億円で買収、NBCテレビはそのテナントだからだ。 当時は、まさに日本の土地高、株高を利用した怒蒔の「アメリカ買い」が続いていた。
東武百貨店が高級ギフト専門店ガンプス社を買収、ツムラが化粧品メーカー、ミネントカの芳香剤76第二章証券化という偽装部門、京セラが電子部品メーカーのエルコグループ藤沢薬品(当時)が中堅医療メーカーのライフォメッド、ゴ一井物産が大手加工油脂メーカー、ウィルシー・フ1ズの食品部門と、枚挙にいとまがなかった。

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